指定管理者制度を利用した武雄市図書館のCCC社への運営委託は「コスト削減」にはなっていないと考えます
※2013/1/18 22:20更新
◎記事を大幅に加筆修正しました。
※2013/1/19 21:00追記
◎おまけ(?)として、記事末尾に新図書館に関する要確認事項を書き連ねてみました。
※2013/2/3 13:20追記
◎武雄市図書館に問い合わせたところ、現在15名いる司書さんは、
事業計画書にある9名だけでなく、全員が図書館で採用予定という
回答が得られたため、それを踏まえて記事内容の修正を行いました。
◎同様に、歴史資料館の職員は4名(館長を含めると5名かも)という
回答が得られたため、それを踏まえて記事内容の修正を行いました。
◎2012/6/14市議会の谷口議員の一般質問における、
図書館・歴史資料館(蘭学館)の成り立ちについての発言を追記しました。
昭和46年から募金等の建設運動が始まり紆余曲折を経て完成したものだとのこと。
そういう文化施設を市民に相談もなくTSUTAYAに変えるのはいかがなものでしょうね。
※2013/2/11 19:40追記
◎武雄市図書館からの追加回答で、司書15名については
●8名: CCC社の契約社員として司書採用。
●6名: CCC社の契約社員として司書採用。
ただし通常の司書業務に加えて、販売部門の選書、配架、
書評ポップづくり、ディスプレイ等も行う。
●1名: 武雄市役所 文化・学習課の図書館担当として継続採用
という形で採用されることが判明したのでそれを追記しました。
注意とお願い:
この記事は、ツイッターの #takeolibrary の皆様のお力などもお借りしながら
私が行ってきた各種調査結果に基づいて執筆したものです。
情報源については、記事や各資料の中で、できる限り明示しております。
武雄市の新図書館構想の全容は、武雄市公式ホームページなどにも
市民に対してわかりやすく説明を行っているページなどが一切存在しないため、
各種報道記事、武雄市議会の議事録や中継動画、他の方が情報開示で得られた資料など、
様々な資料をあたった上で執筆しております。
それでも、なおわからない点なども多数あるため、間違いや新情報などがございましたら、
コメント欄でご指摘・ご連絡いただければ幸いです。
私のこの主張が正しいかどうかは、各種資料などをご覧いただいたうえで、
皆様ご自身でご判断いただければと思います。ご意見なども遠慮なくお寄せ下さい。
思うところがありましたら、樋渡市長や武雄市役所にも意見をお寄せ下さい。
私個人としては、樋渡市長や賛成議員などが出している数字や説明には
まやかしが多く、厳しい目で見ていく必要があると考えております。
【記事本文開始】
佐賀県武雄市が進めている武雄市図書館・歴史館の新図書館構想。
指定管理者制度を利用して、TSUTAYAを経営するCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)社に
図書館運営を委託するということで、色々な意味で話題を呼んでいます。
この件でよくアピールされているのが、
「指定管理者制度を導入することで、コストが1割削減できる」
という主張です。
この記事ではこれが本当なのかどうかを検証してみたいと思います。
ぶっちゃけて言うと、まったくコスト削減にはなっていないと考えており、
むしろトータルのコストは大きく増えるのではないかと考えています。
まず、私が調べてまとめた武雄市の図書館費に関する資料を提示しておきます。
佐賀県武雄市の図書館費に関する情報や疑問など(PDFファイル)
以下に、資料中にもある近年の武雄市の図書館費の決算金額(支出済額)を表で提示しておきます。
年度 | 図書館費 (2011年度分までは 決算資料から 支出済額を 抜粋しています) | 備考 |
---|---|---|
2006年度(H18) | 124,645,018円 | |
2007年度(H19) | 116,073,594円 | |
2008年度(H20) | 114,328,032円 | |
2009年度(H21) | 111,996,186円 | |
2010年度(H22) | 123,856,937円 | ※電子書籍を利用したMY図書館導入のための費用もあり それもあって多少金額が膨らんでいます。 |
2011年度(H23) | 139,600,355円 | ※電子書籍を利用したMY図書館が導入された年であり それもあって金額が膨らんでいます。 |
2012年度(H24)※備考欄参照 | (124,795,000円) | ※年度当初予算 |
2012年度(H24)※備考欄参照 | (145,000,000円) | ※2012年度は従来70日程度だった年間休館日数を 月曜開館を増やすことで34日まで減らすこととなっていた。 これは佐賀県内の市町立図書館としては もっとも開館日数が多いというレベル。 また司書の給与の増額等も考えられていた。 そのため最終的には例年よりも大幅に多い 1億4500万円程度を見込んでいたとのこと。 ※ただし実際には2012年11月から改装作業のため 5ヶ月間の長期休館となっており、実際に1億4500万を かけたわけではないことに注意が必要。 5ヶ月休館の影響分は年度末に補正予定。 |
武雄市は2010年度から2011年度にかけて、「武雄市MY図書館」という電子書籍を利用した図書館サービスを導入しており、
そのシステム構築費や備品購入費、委託費などのため、当該年度の金額はそれなりに膨らんでいます。
(詳細は上に示したPDF資料をご覧下さい。)
従って、近年の武雄市の図書館費は、実質的に平均1億2000万円程度と考えるのが妥当でしょう。
武雄市図書館の計画についての報道などでは、
「従来は年間1億4500万円だった費用を~」
という表現がしばしば見られますが、その金額は表の備考欄にあるように、
2012年度に色々な事情で大幅に増額されたものです。
しかも、実際には改装工事のため11月から5ヶ月間の長期休館となりましたので、
実際に1億4500万円をかけたことはないということに注意が必要です。
繰り返しますが、市民に説明するのであれば、近年の武雄市の図書館費は、
実質的に平均1億2000万円程度とするのが妥当だと考えます。
また、この金額は図書館だけでなく歴史資料館の運営なども含めた金額です。
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CCC社への委託により、武雄市図書館・歴史資料館の年間運営費はどうなるのか?
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--- ★ポイント1 ---
CCC社に委託されるのは「図書館の運営」と「施設管理」だけであり、
「歴史資料館の運営」「蘭学館の運営」は武雄市の直営となる。
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CCC社への図書館の運営委託費は、5年間で5億5000万円となっています。
つまり、年間1億1000万円となります。
ただし、「武雄市図書館・歴史資料館」は、その名前のとおり、
・図書館
・歴史資料館(企画展示室・メディアホール・収蔵庫)
・蘭学館(常設展示室)
が併設された複合的な文化施設です。このうち、CCC社に委託されるのは
・「武雄市図書館・歴史資料館」全体の施設管理
・図書館の運営(一応「歴史資料館との連携」は含まれている)
だけであり、
・歴史資料館の運営
・蘭学館の運営
については、武雄市の直営で行うこととなっています。
歴史資料館の館長も、図書館の館長とは別にポストが設けられます。
(ただし2012年12月議会での発言では当面は兼任とすることが検討されているようです)
したがって、CCC社への図書館運営委託費1億1000万円とは別に、
歴史資料館や蘭学館の人件費・運営費なども必要になるはずです。
歴史資料を扱う学芸員さんの人件費などもそちらに入ります。
※2013/2/3 13:20追記
武雄市図書館・歴史資料館に問い合わせたところ、
歴史資料館部門の職員は、現在は4名、
2013年4月からも4名となる予定だという回答をいただきました。
少なくともこの4名の人件費はCCC社への委託費とは別に、
武雄市が予算を組むことになりますね。
(回答ではよくわかりませんでしたが歴史資料館の館長も含めると5名かもしれません。
ただし2012年12月の武雄市議会を見た限りでは、図書館と歴史資料館の
館長は兼任となる可能性が高そうです。)
--- ★ポイント2 ---
蘭学館が市民への事前説明無しで潰され、いずれ新市庁舎に
新築される予定のため、その移設費や運営費も発生する。
-------------------
2012年の12月議会で、
「武雄市の貴重な蘭学資料を常設展示し、顕彰するために作られた、
図書館とは半分独立した専用建築物である「蘭学館」の建物が、
「新図書館計画で使えるスペースが無くなったから」というアホな理由で
TSUTAYAの有料CD/DVDレンタルコーナーにされてしまう。」
ということが市民への事前説明も無しに決められてしまいました。
市民を完全に軽視した恐ろしい文化破壊ですね。愚か極まりない行為だと思います。
常設展示されていた蘭学資料は、当面の間は隣にある歴史資料館の
企画展示室に間借りして展示することとなっていますが、
いずれは武雄市役所の新市庁舎の中に、新たな蘭学館を作る計画だそうです。
現在の武雄市役所は、市庁舎に耐震性がないとのことで、現在も対応が検討中であり、
案1.別の場所に新市庁舎を建てる
案2.現在の市庁舎があるところに新市庁舎を建てる
案3.現在の市庁舎に耐震補強工事をする
といった案が検討されているそうです。
新市庁舎が完成するまでには少なくとも2~3年はかかりそうな感じですし、
もし案3が採用されれば、望ましい形で市庁舎内に蘭学館を作り込むのは難しいと考えています。
また、どの案が採用されても、武雄市図書館・歴史資料館とは別の場所で
蘭学館を運営することになりますから、費用が別途発生することになるでしょう。
蘭学資料は武雄市の貴重な観光資源でもあると思うのですが、
仮に新しい市庁舎内に蘭学館を作った場合、休日の開館などはできるのでしょうか?
開館できるとしても図書館・歴史資料館とは別の場所で開館することになりますから
図書館とは別に人員の確保が必要となりますよね。
また、休日に開館できなければ大事な観光資源の価値が下がることになりますよね。
せっかく図書館と歴史資料館を併設して価値を高めた複合施設として作られていたのに、
そのメリットをむざむざ失ってどうするのだろうと思います。
しかも代わりにできるのがTSUTAYAの有料CD/DVDレンタルコーナーって・・・。
一体何を考えているのでしょうか。
※2013/2/3 13:20追記
2012年6月14日の武雄市議会での谷口議員の発言(議事録PDF p.337~)によると、
武雄の歴史資料館・蘭学館は、昭和46年から建設運動が始まり、
その中で市民による募金なども行われ、県立歴史資料館の誘致運動など
様々な紆余曲折を経て、最終的に2000年10月に市立図書館との複合施設である
「武雄市図書館・歴史資料館(蘭学館)」
として完成したものだそうです。
そういった市民の想いの込められた施設を、市民に何の相談もなく潰して
TSUTAYAに提供するという樋渡市長の行為は極めて異常であると考えます。
--- ポイント3 ---
CCC社への委託費(年間1億1000万円)に含まれる人件費は
たった12名分、3241万円のみであり、
その他の人件費は別枠で発生するものと思われる。
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CCC社への委託では、人員削減(というか人員分散?)もなされます。
まず、従来の武雄市図書館・歴史資料館の職員数は、
23名(うち司書15名)だったそうです。
(2013/2/3 13:00追記: 2013年1月現在でもこの人数だということを確認しました)
そして、他の方が開示をかけて下さった新図書館構想の事業計画書(2012/10/12付)に載っている
新図書館構想での組織図を見ると、以下の画像のようになっています。
まず、
・館長/施設管理者(常勤1名)
・スーパーバイザー・危機管理・システム・経理・法務・広報 各1名(非常勤 各1名)
の7名がいます。
次に「図書館部門」として、
・図書館部門担当者(常勤1名)
・図書館司書(嘱託社員シフト制9名)
の10名がいます。
次に「飲料・有料サービス部門(つまりスターバックスとTSUTAYA)」に
・飲食・有料サービス部門責任者(常勤1名)
・飲食・有料サービス部門担当社員(シフト制5名)
・アルバイトスタッフ(シフト制25名)
の計31名が配属されます。
図書館部門と有料部門をあわせて、全体としては48名体制ですかね。
しかし、事業計画書の収支予算書にもあるとおり、CCC社への委託費1億1000万円のうち、
人件費は「館長1名、職員11名」の合計12名のみとなっています。
そしてその12名分の人件費は年間3241万円となってますね。
ええと、12名というと、
・館長/施設管理者(常勤1名)
・図書館部門担当者(常勤1名)
・図書館司書(嘱託社員シフト制9名)
・飲食・有料サービス部門責任者(常勤1名)
になるのかな?
これだと有料部門のスタッフが1人入ってるけど、これであってるんだろうか・・・。
有料部門は完全に別にしないといけない気がするのですが・・・。謎ですね。
そして、あらためて図書館部門を見ると、
従来15名だった司書は9名に減らされています。
樋渡市長は2011年末には「司書を積極的に入れる」と言ってましたが、減らされます。
2012/5/4のCCC社との合意会見では、樋渡市長は減らした司書さんについて
「学校の図書室に配置したい」とか言ってましたが、結局どうなったんでしたっけ・・・?もしこれが実行されるのであれば、学校図書室の司書さんの人件費という形で、
CCC社への委託費とは別枠で費用が発生することになります。
※2013/2/3 13:20追記
武雄市図書館・歴史資料館に問い合わせを行ったところ、
◎現在の司書15名は、4月からも15名全員が図書館で採用予定
◎したがって学校への司書の配置はない。
という回答をいただきました。
上に書いたように、事業計画書では人件費は館長と司書9名を含む
12名分しか確保されていないので、事業計画書に変更がないとすると、
「飲食・有料サービス部門担当社員(シフト制5名)」
に、残りの司書さん4~6名が雇用されることになるのかもしれません。
要するに武雄市が運営を委託する図書館職員としてではなく、
図書館内の蔦屋書店の店員(おそらくコンシェルジュ?)として
採用される司書さんがいるのかもしれません。
ただし、事業計画書が変更されている可能性もありますので、事業計画書の
「図書館司書(嘱託社員シフト制9名)」
が
「図書館司書(嘱託社員シフト制15名)」
に変更されたのかもしれません。
ただ、そうなった場合、図書館運営の委託費の上昇は不可避だと思うので、
やはり残りの司書4~6名は蔦屋書店の店員として採用される可能性のほうが
高いのではないかなと・・・。
CCC社が委託費とは別枠で蔦屋書店の店員として司書さんを雇えば、
確かに武雄市が出す人件費は減りますが、蔦屋書店員としての仕事と
図書館業務との兼ね合いがいまいちよくわからないですね。
もう少しはっきりした情報が出てくるとよいのですが・・・。
また、樋渡市長は2012/5/4のCCC社との基本合意会見では、司書給与について、
「差額は市の方で現状保証します。」
という発言もしていましたが、そのあたりもどうなるのでしょうね。
蔦屋書店の店員の給与を市が補填するわけにもいかないと思うのですが・・・。
※2013/2/11 19:40追記
武雄市図書館から追加回答をいただきました。
15名の司書さん(嘱託職員)については、
●8名: CCC社の契約社員として司書採用。
●6名: CCC社の契約社員として司書採用。
ただし通常の司書業務に加えて、販売部門の選書、配架、
書評ポップづくり、ディスプレイ等も行う。
●1名: 武雄市役所 文化・学習課の図書館担当として継続採用
という形で採用されるとのことです。
また、上のポイント1で書いたように、学芸員さんなどは、
武雄市直営となる歴史資料館の職員となります。
(2013/2/3 13:20追記:情報によると合計4名)
これもCCC社への委託費とは別枠で費用が発生することになります。
従来は学芸員さんも「武雄市図書館・歴史資料館」の職員として
司書さん達と一緒となって業務をしていたと思うのですが、
CCC社への委託後は、業務形態としては図書館と歴史資料館が分離された形になりますので、
学芸員さんが図書館業務にどこまで関われるかは不明です。
まあ要するに、CCC社への委託費とは別のところで
色々と人件費や運営費などが発生するのではないかということです。
もっとも、司書さんの学校配置が実施されるかどうかもよくわかりませんし、
学芸員さんの人件費など、歴史資料館部分の運営費がどれくらいかかるのかは不明です。従来の23名の職員さんのうち、CCC雇用となる12名(うち司書9名)を除いた
残り11名(うち司書6名)の方々の行き先はどのようになっているのでしょうね?
そのあたりはなるべく早いうちに調査が必要だと思っています。
さすがに丸ごとリストラってことはないと思うのですが・・・。
※2013/2/3 13:20追記
少なくとも司書15名と歴史資料館の4名は形はどうあれ継続採用となりそうです。
その他のスタッフについてはわかっていないので要調査ですね。
また、事業計画書には、非常勤の6名は
「CCC社の東京本社または九州支店にて勤務を行い、必要に応じて武雄市で勤務」
とあるので、現場サービスの戦力にはなりません。
有料部門のスタッフがどれくらい図書館部門の仕事に関わるのかも、よくわかりません。
そもそも関わっていいものなのかどうかすら、よくわかりません。
自動貸出機が導入され省力化が図られるとはいえ、この体制で
図書館サービスの質が保たれるのかどうかは個人的に心配しています。
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■まとめ
以上をまとめると、
・従来の武雄市の年間の図書館費は、
歴史資料館や蘭学館の運営なども含めて年間1億2000万円程度。
・CCC社への委託費は年間1億1000万円。
ただし委託されるのは「図書館の運営」と「施設管理」のみ。
・CCC社への委託費とは別に、武雄市の直営事業として
歴史資料館の年間運営費が必要になる。
学芸員さんの人件費なども、ここに含まれることになる。
※2013/2/3 13:20追記
歴史資料館の職員は4名を予定しているとのことなので、
人件費だけで少なくとも1000万~2000万円程度は必要だと思われる。
・蘭学館の蘭学資料は当面は歴史資料館の企画展示室に
間借り展示されるようだが、これもCCC社への委託費とは別に、
武雄市の直営事業として蘭学館の年間運営費が必要になる。
歴史資料館の運営費の一部として扱われると思われるが、
いずれは別の場所(新市庁舎)に新蘭学館が作られるとのことなので、
その場合は休日開館の人員確保等で年間運営費がかさむ可能性もある。
・CCC社への委託費とは別に、学校図書室の司書さんの人件費が
武雄市の予算として必要になるのではないか。
(2013/2/3 13:20 学校配置はないことが判明したので取り消し。)
となるため、元々の職員さんの行き先や武雄市の直営事業部分なども含めて考えた場合、
武雄市図書館・歴史資料館・蘭学館の実質的な年間運営費は、
従来よりもむしろ増えるのではないかと考えています。(年間運営費というか、従来図書館費として計上されていたものが
色々な別枠で計上されるようになるだけで、武雄市としての負担額は
変わらないか増えると言ったほうが良いでしょうか・・・)
※2013/2/3 13:20追記
歴史資料館4名の人件費をかなり低く見積もって1200万円としても
CCC社への委託費とあわせるとそれだけで1億2200万円となる。
その他の人件費や運営費等は現時点では不明。
また、これは年間運営費とは異なりますが、
・蘭学館は当面は企画展示室に間借り展示されるようだが、
いずれ別の場所(新市庁舎)に新蘭学館を作るとのことなので、
その建設・移設費用も別途必要になる。
(市庁舎の建設費の一部とされるだろうが、
それなりにコストが発生するということ。)
ということにもなります。4億5000万円もの巨額の図書館改装費用もそうですが、
随分と余計なお金ばかりがかかっているのではないでしょうか。
ただ、不公平とならないよう、メリットも明確に述べておきますが、
CCC社への運営委託により、図書館の開館時間は大幅に伸びます。
従来の武雄市図書館・歴史資料館の開館時間と休館日数は、
●10時開館~18時閉館(金曜のみ19時まで開館)
●平成23年度は年間70日の休館。
平成24年度は年間34日の休館を予定していた。
(ただし平成24年度は、結局改装工事のため5ヶ月以上休館)
でしたが、CCC社への委託により、これが
●9時開館~21時閉館
●休館日無しの365日開館
となるため、樋渡市長の主張のとおりなら開館時間は平成24年度比で1.6倍となります。
上に書いたように全体としてどれくらいの費用がかかるかわかりませんが、
開館時間に対する費用対効果については、費用の全貌がわかった時点で
計算して、従来と比較してみるとよいかもしれませんね。
私個人としては図書館は別に365日の開館が必要な施設とは思っていませんし、
従来と同程度の休館日を設けることで、より一層のコストダウンや
業務の効率化(整理作業等)、サービスの充実や図書購入費の増額を
狙ったほうが嬉しい気もしますが、仕事の都合などで行けなかったような人が
利用できる機会も増えますので、このあたりは個人によって
判断が分かれるところだろうと思っています。
ただし、あくまでも「従来よりも開館時間が増える」ということであって、
上に述べた通り、武雄市図書館・歴史資料館全体としての
年間運営費は、よくても従来と同程度であり、
むしろ増える可能性のほうが高いのではないかと考えます。
(更に図書館改装費や蘭学館新築・移設・運営費用などもかかる)
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「武雄市が直営で1日12時間365日開館を行うと2億3200万円かかる」とは?
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「2億3200万円」という金額も、図書館構想でよく持ち出される数字の1つです。
この数字は、2012年7月18日の武雄市議会での樋渡市長の発言がもとになっています。
2012年7月18日の市議会の議事録から、樋渡市長の発言を抜き出して見ましょう。
まず、直営で行った場合にどれぐらいの費用増になるかということについて、
かいつまんで申し上げます。総額で2億3,200万円になります。
その内訳につきましては、人件費が3,600万円の増、
これは職員を7人程度増員しなければならない。
光熱費については1,700万円の増になります。
これについては、日数、時間延長による増加分が1.6倍ということですので、
その分の増になります。
そして、日数の増加に伴う委託料については3,400万円の増になりますので、
繰り返しになりますけれども、総額で2億3,200万円。
ですので、図書館全体を含んで1億4,000万円強が2億3,200万円になると
いうことになりますので、とてもとても直営ではもう無理です。(14ページで訂正)
ですので、朝9時から夜9時まで、365日行うという観点から
2億3,200万円かかってしまうということについては御理解をいただきたいと思います。
まとめると、
1.2012年度の予定図書館費が1億4500万円
2.人員7名増員で人件費が3600万円増
3.光熱費が1.6倍(時間増加によるもの)で1700万円増
4.委託料もおそらく1.6倍(時間増加によるもの)で3400万円増
5.これらを合計すると2億3200万円
ということであり、この樋渡市長の発言を根拠として、
「武雄市が直営で1日12時間365日開館を行うと2億3200万円かかる」
という主張がなされているのですが、これについてよく考えてみましょう。
重要なのは、
「樋渡市長は図書館運営手法の改善や人員削減などを一切考慮せず、
現在の状況のまま単純に開館時間を延ばすという前提で計算を行っている。
設備改修による光熱費の改善効果なども一切計算していない。」
ということです。つまり、まともな見積もりではないってことです。
更にここで、武雄市の予算資料や決算資料などを基にして色々と考えてみましょう。
とりあえず人件費は後回しにします。
最初に光熱費から考えてみましょう。
後述しますが、今回の図書館構想では、市民にちゃんと説明されないまま、
7億5000万円(武雄市4億5000万円、CCC社3億円)という
巨額の改装費用がかけられており、その中には設備改修費も含まれています。
事業計画書ではLED電球を使った節電も記載されていますし、
エアコンの効率アップなども見込まれますから、開館時間が増えるとはいえ
少なくとも「時間あたりの光熱費」は従来よりも減らすことができるはずですね。
とりあえず近年の武雄市の図書館費の中の光熱費の金額を見てみましょう。
光熱費は、光熱水費という名前で「需要費」の項目に含まれています。
年度当初予算と、年度決算における支出済額を示します。
年度 | 内容 | 需要費の総額 | 光熱水費の金額 |
---|---|---|---|
H22年度 | 年度当初予算 | 1699万4000円 | 954万0000円 |
決算(支出済額) | 1626万3607円 | 921万8007円 | |
H23年度 | 年度当初予算 | 1808万0000円 | 960万0000円 |
決算(支出済額) | 1726万2550円 | 903万7987円 | |
H24年度 | 年度当初予算 | 1702万4000円 | 1070万0000円 |
樋渡市長の計算では
「光熱費が1.6倍(時間増加によるもの)で1700万円増」
とされていましたよね。しかし、よく見るとなんだかおかしい。
試しにH24年度当初予算をベースに単純に計算してみると、
1070万円×1.6=1712万円
となりますから、増加するのは642万円ではないでしょうか。
「1700万円増」と言っていたのは間違いで、正しくは「1.6倍なので1700万円になる」と
言いたかったのでしょうか。なんだかいきなりおかしな点が見つかってしまいました。
上に書いたように改装によってエネルギー効率が上がるはずですから、
実際に増加する金額は642万円よりも更に抑えられるはずですね。
次に「委託料」を見てみましょう。
年度 | 内容 | 委託料 |
---|---|---|
H22年度 | 年度当初予算 | 1814万7000円 |
決算(支出済額) | 2493万8596円 | |
H23年度 | 年度当初予算 | 1961万2000円 |
決算(支出済額) | 2799万8920円 | |
H24年度 | 年度当初予算 | 2126万6000円 |
H22年度とH23年度は最初に書いた通りMY図書館で委託費が膨らんでいるので
あまり参考にしたくないのですが、とりあえず挙げておきました。
樋渡市長の計算だと
「日数の増加にともない委託料も3400万円増」
ということでしたね。これもなんだかおかしい。
日数増加とあるので、これも1.6倍と考えて、試しにH24年度当初予算をベースに
単純に計算してみると、
2126万6000円×1.6=3402万5600円
となりますね。この計算だと増加分は1275万9600円ですね。
「3400万円増」と言っていたのは間違いで、正しくは「1.6倍なので3400万円になる」と
言いたかったのでしょうか。
この時点で壊滅的に酷い間違え方だと思うのですが、
市議会での議論はこの数字を元に行われてきてるんですが、いいんですか?
一応人件費も見てみましょうか。
ここで言う人件費とは、予算・決算書の項目だと図書館費の中の
「報酬」「給料」「職員手当等」「共済費」「賃金」「報償費」「旅費」
を合計すればいいんでしょうかね?
年度 | 内容 | 人件費 |
---|---|---|
H22年度 | 年度当初予算 | 6185万1000円 |
決算(支出済額) | 6443万6026円 | |
H23年度 | 年度当初予算 | 6431万9000円 |
決算(支出済額) | 6672万3012円 | |
H24年度 | 年度当初予算 | 6939万8000円 |
リストアップしてみたものの、樋渡市長の主張は
「人員7名増員で人件費が3600万円増」
でしたね。
1.6倍してもあまり意味はないですが、ためしにH24年度当初予算を使って計算すると
6939万8000円×1.6=1億1103万6800円
となり、増加分は4163万8800円となりますね。
人件費については樋渡市長の「3600万増」もあながち的外れではないのでしょうか?
正確な算出根拠が不明ですが、とりあえず人件費については樋渡市長の
「3600万増」という数字を暫定的に使うことにしてみましょうか。
以上の間違いなどを踏まえると、直営でやる場合の金額の説明は
以下のようにするのが(樋渡市長的な計算では)正しいはずですね。
1.2012年度の予定図書館費が1億4500万円
2.人員7名増員で人件費が3600万円増
3.光熱費が1.6倍(時間増加によるもの)で642万円増
4.委託料もおそらく1.6倍(時間増加によるもの)で1276万円増
5.これらを合計すると2億18万円
2億3200万円から約3200万円ほどダウンしましたね。随分な落差です。
ちなみに、2012/11/21に行われた図書館総合展での樋渡市長の講演では、
「直営でやると2.1億円だがCCCだと52%の1.1億円で済む」
という説明がされています。
これはもしかして、光熱水費と委託料などの計算間違いに気づいて
この期に及んで再計算したのでしょうか?
その割には市議会では訂正されたことがない気がするんですが。
私個人は、図書館総合展の発表内容を見た当時は、
「直営の費用が2億3200万円だと説明すると、CCC社の1.1億円は
47.4%となり、”半額未満”という表現がされてしまい、さすがに怪しまれるので
わざわざ直営費用を2.1億円と低く見せかけて、半額未満という表現にされるのを
避けたという姑息な工作だろうか?」
などと意地悪く邪推してしまいましたが。
光熱費や委託料の計算間違い説は、この記事を更新しているうちに気づいたので、
当時は知りませんでしたしね。色々な数字がおかしすぎるので邪推しても仕方ないですよね。
なんにせよ、まともな算出根拠を公の場で示しているのを見たことがないのですが。
ちなみに、平成24年度の図書館費の予定金額だった1億4500万円を
単純に1.6倍(時間延長分)した場合も、市長が言っていた2億3200万円になります。
要するに、2億3200万円というのはまともな改善を見据えた数字ではなく、
どんぶり勘定というのも馬鹿らしくなるほどの、余りにもいい加減な金額であり、
何かの根拠とするに足るものではないと考えています。
正式な説明や議論でこんなアホな数字持ち出すなって話です。
これではまるで詐欺みたいな話ではないでしょうか。
ついでに、先程も示した「情報開示で得られた事業計画書」を見てみましょう。
CCC社への委託費1億1000万円のうち、「光熱水費・ガソリン代・修繕費」の
積算という形で「需用費」が示されていますが、この需要費の金額は
1792万2000円
となっていますね。
開館時間が1.6倍に延びるわけですが、この「需要費」の金額は、
従来の金額とあまり変わってないですね・・・。
設備改修によるエネルギー効率アップで光熱水費が削減できるということなのか、
それとも、商用部門も相応分の光熱水費を負担することになるので、
図書館部門としての負担は減っているということなのでしょうか。
そのあたりもこれまで一切説明されていないはずなので、よくわかりません。
なるべく早く正式な説明を求めたほうが良いのではないかと考えています。
「委託料」は事業計画書を見ると1532万円ですね。
従来2000万~3000万くらいかかっていたのにくらべると安いですが、
歴史資料館運営の部分は外されたりするでしょうし、
従来の委託費と単純に比較して良いものなのかどうかよくわかりません。
「人件費」については、樋渡市長は「7名増員」と言っていましたから、
従来の職員数23名に7名を足すと30名になるはずですね。
しかし、CCC社への委託では、人件費は12名分しか含まれていないのは、上に書いたとおりです。
30名を12名に減らせば、そりゃあ安くもなるさって言うね・・・。
まとめますと、
「直営でやると2億3200万円かかる」
というのは、そもそも根拠に乏しい当てにならない数字なので無意味。
また、CCC社への委託費1億1000万円と単純に比較できる数字でもないということです。
騙されないようにしましょう。
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「直営だと2億3200万円かかるがCCC社への委託なら1億1000万で済むので
年間1億2200万円の効果がある」とは?
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上で述べたように、直営だと2億3200万円かかるという数字はまともなデータではありません。
また、市民が2億3200万円(従来の図書館費の倍額)もかけて
図書館の1日12時間365日開館を望むとは、とても思えません。
直営で2億3200万円という数字の算出根拠(ろくにないですが)と、
CCCへの委託費1億1000万円の算出根拠とは、内容が大きく異なっていますので、
それらを単純に比較してはいけません。
これらのことは普通に冷静に考えればわかることです。
それなのに、恐ろしいことに武雄市議会の吉川里己議員や黒岩幸生議員、
上田雄一議員などの図書館構想賛成派議員からは、
「直営でやると2億3200万円かかるところを1億1000万円でやるのだから
年間1億2200万円の行革効果があるとアピールすべきだ」
などという支離滅裂な声が平然と上がっており、樋渡市長もそれを大いに利用しています。
特に樋渡市長は、2013/1/11にもツイッターで
確かに年中無休12時間営業の図書館は画期的だが、実際これを武雄市が直営でやるとなると2億3200万円かかる。ところが指定管理者制度を導入することによって1億1000万円でこれを実現できるわけですね。経費削減分は年間なんと1億2200万円。 #takeolibrary
— ナオカゲさん (@naokages) 1月 11, 2013
この経費削減分である1億2200万を武雄市新図書館の改修費である4億5千万円に充当すれば、実はわずか4年で元が取れるという計算になる。つまり改修費の一世帯当たりの負担は実質0円。 #takeolibrary
— ナオカゲさん (@naokages) 1月 11, 2013
という不自然で支離滅裂な主張を繰り返す支持者(?)のツイートを
リツイートで流しており、非常に悪質です。(ツイート魚拓 ■ ■)(樋渡市長Twilog魚拓)
樋渡市長や賛成議員は、意図的に
他の議員や武雄市民を騙しているのですか?
それとも本気で勘違いするほど低レベルなのですか?
それと黒岩幸生議員、あなたも完全に勘違いしてしまっています。
「指定管理者制度導入によって年間1億2200万円が削減できるので、
仮に年間1億円の削減としても15年で15億円が確保できる。
それも財源として利用すれば、100億円の総合豪華運動施設を作ることも可能。」
って、何をどう考えたらそんなことになるのですか?
黒岩議員は市議会でも
「図書館構想に賛成したのは、このコスト削減があるからであります」
と言ってますが、樋渡市長とその取り巻き議員に、いいように騙されてしまったのですか?
図書館費に2億3200万円もかけたことなどこれまでないのですから、
そもそもそれを基準に「削減」などという表現ができるはずもありません。
(吉川議員らは「行革効果」という表現でごまかしているようですが・・・)
上に述べたように、年間運営費は従来より削減されるどころか、
従来よりも増える可能性のほうが高いように思えます。
下で詳しく述べますが、4億5000万円という巨額の図書館改装費も、
年間運営費の削減そのものが不可能でしょうから、回収するメドなどありません。
歴史資料館や蘭学館に手を入れることになるため、
そのためのコストまでもが余計にかかります。
要するに、私の考えが正しければ、新図書館構想では余計なコストばかりがかかりますので、
黒岩議員の言う100億円の豪華総合運動施設の建設という夢は遠のいたのではないでしょうか。
樋渡市長や図書館構想賛成議員の方々が背負ったのは、
「武雄市図書館・歴史資料館を非常に利便性が悪く危険な形に改悪し、
蘭学館まで潰してTSUTAYAやスターバックスという有料事業者に明け渡し、
そのうえ武雄市民に多額の金銭負担を負わせた」
という罪の十字架なのではないでしょうか。
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「図書館の改装費用4億5000万円は、果たしてどこから捻出するのか?」
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図書館の改装には、市の予算だけで4億5000万円が拠出されます。
また、それとは別にCCC社も3億円を拠出すると発表されています。
市の拠出金額の何割かはCCC社への業務発注に回されますし、
CCC社の3億円の内訳については一切発表されていないので、
どこまで正しい数字かは疑問ですが・・・。
これまでの説明では、例えば
「1億4500万円を指定管理者制度利用で1億1000万円に減らせれば
年間3000万円の削減効果。この場合、15年で元が取れる。
だから改装費については市民負担はない。」
といった感じで、
「基本的には図書館の年間運営費の削減分で、改装費用をまかなっていく」
と説明されていましたが、上で指摘したとおり、
「武雄市図書館・歴史資料館」全体としての年間運営費は、
よくても従来と同程度、むしろ増える可能性のほうが高いと考えています。
そうなると、実質的にこの巨額の改装費は、どこからも捻出できなくなります。
結局のところ、改装費用も全て市民負担ということになってくるのではないでしょうか。
4億5000万円を1世帯あたりに換算すると、2万5千円以上となります。
武雄市図書館・歴史資料館は、2000年10月に完成したばかりで、
まだ新しく綺麗な図書館でしたが、その図書館に対してこれだけ巨額の税金を投入し、
代官山蔦谷書店っぽくするためだけに、本棚なども全て入れ替えるという暴挙は、
果たして市民から支持されるものなのでしょうか?
また、改装後の武雄市図書館・歴史資料館は、過去記事で書いてきたように、
利便性も悪く危険な施設になるのではないかと考えています。
図書館部分は単位面積あたりの蔵書数が増えるため、
最大4.6mもある巨大な書架に蔵書が詰め込まれたりしますし、
従来の閉架書庫を潰しておきながら、今度は2階の壁際に
高さ3.9mの巨大書架(閉架)を設け、幅わずか1.5mの増設通路から
取り出し作業を行ったりしなくてはなりません。
武雄の貴重な蘭学資料を展示していた蘭学館も市民への相談無しに潰されて
TSUTAYAの有料CD/DVDレンタルコーナーにされてしまいます。
少なくとも、私が武雄市民であればこんな改悪計画には一銭たりともお金を出したくありません。
1世帯2万5千円もの大金を払うなどと考えると頭がクラクラしてきます。
「盗人に追い銭」ということわざまで浮かんでくるくらいです。
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まとめ
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これまで述べてきたように、私は武雄市で進められている新図書館構想は、
市民の意見の聞きとりや説明もろくに行わないまま、
樋渡市長の感性とやらを根拠に賛成議員らによって勝手に進められたうえ、
多大なコストをかけて図書館・歴史資料館を、利便性が悪く、かつ危険な形に改悪し、
蘭学館まで潰して有料サービスを行うCCC社に提供して便宜を図ったうえに
市民に多大な金銭負担まで負わせる最悪の文化破壊的な計画
だと考えています。
今回の記事ではコスト面に焦点をあててみましたが、他の様々な問題については、
このブログの左側にもある
から資料や記事が辿れるようになっております。
武雄市民を始めとした多くの皆様に、こういった事実を広く知っていただき、
武雄市の新図書館構想についての議論が広がっていくことを願っております。
また、それにより武雄市や新図書館構想が少しでも良い方向に進むことを願っています。
この記事に間違いなどがありましたらコメント等で具体的にご指摘ください。
よろしくお願いいたします。
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おまけ: 新図書館に関する要確認事項
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謎が多すぎるので、現時点ではっきりしていない点を羅列してみました。
(本記事に関連するものが中心ですが、直接関係ない点も含まれています)
--- 一番大事なこと
●市民へのまともな公式説明ページや説明資料の提示、
まともな説明会の開催などはいつになったら行われるのですか?
公式にはいまだにパース図すらまともに公開されていませんが?
--- 金額の根拠や費用の発生関係
●CCC社が負担するという改装費3億円の内訳は?
蘭学館を潰してTSUTAYAの有料CD/DVDレンタルコーナーにする費用も
CCC社が負担することになったためもっと増えているはずだがどうなっている?
●「直営だと2億3200万円」という、どんぶり勘定にもほどがある見積もりの正確な根拠。
もともと間違った説明をしていたのであれば市議会などで訂正を。
●11/21図書館総合展で説明されていた「直営だと2.1億円」という数字の算出根拠。
なぜ2億3200万円だったのが減っているのか?
●従来の23名の図書館・歴史資料館職員の行き先(司書・学芸員・事務員など詳細に)
●学校図書館に司書を配置するという計画は結局どうなったのか?
●CCC社への委託費に含まれる人件費は12名分だが、
「飲食・有料部門責任者1名」の人件費も含まれているという解釈は正しいか?
また、正しいのであれば、「有料部門スタッフの人件費」が
委託費に入っていることに問題はないのか?
●図書館部門(武雄市→CCC委託)・歴史資料館部門(武雄市)・有料部門(CCC社)とで
分担される費用はあるのか。
たとえば建物全体の光熱費などは、施設管理費用の一部として
委託費に全て含まれているのか。それとも各部門で費用分担がなされるのか?
●歴史資料館の年間運営費用はどれくらいか?(学芸員人件費等もどうなるのか)
●歴史資料館の企画展示室に間借りして蘭学資料を展示運営するための
各種コストはどれくらいか?
(蘭学館からの移動、展示場所の作成、展示資料の改造、その他)
●CCC社の有料部門(TSUTAYA・スターバックス)への賃貸料はいくらなのか?
●新市庁舎に「新蘭学館」を新設・移設するための費用の見積もりは?
●新蘭学館の運営方針は?(休日開館の可否、人員の確保等)
●新蘭学館の運営コストの見積もりは?
●結局のところ従来の「武雄市図書館・歴史資料館」でやっていたことを
全て含めた場合のトータルコストは、CCC委託後にどれくらいになるのか?
--- 図書館部門と歴史資料館部門と有料部門との切り分け関係
●有料部門のスタッフは図書館部門の作業を行えるのか。
●歴史資料館のスタッフは図書館部門の作業を行えるのか。
●2012/11/15の市民説明会では、
「2階の巨大本棚の高いところから本を取り出すために
司書以外の係員を配置してすぐに声かけできるようにする」
という説明があったが、この「司書以外の係員」とは、
具体的にどのスタッフのことを言っているのか。
有料部門のスタッフくらいしかいないような気がするのだが。
●図書館部門と有料部門の機材等は明確にわける必要があると思うが、
自動貸出機がTSUTAYAの自動POSと共用になるという噂もあるが本当か。
本当ならそれに問題はないのか。
●全体的に図書館部門と有料部門の切り分けはどのようになされるのか。
●切り分けでは、図書館法などはしっかりクリアされているのか。
--- 図書館業務関係
●雑誌の貸し出しは完全に無くなるのか?(館外持ち出しは買い取りという話。)
それとも一部の雑誌やバックナンバーについては貸し出し可能なのか?
●CD/DVDについては、従来の視聴覚資料の無料貸し出しは完全に無くなり、
TSUTAYAの有料CD/DVDレンタルだけになってしまうのか?
●高さが3.9m~4.6mもある巨大書架の上部から本を取り出したりする
作業はどのような方法で行われるのか?
(特に2階キャットウォーク部の巨大書架について。)
●地震時の巨大書架からの蔵書崩落対策はどうなっているのか?
高い部分に落下防止のストッパーをつけるという対策は示されているが、
「JIS規格に基づいて設置する」という説明だけであり、
どの程度の地震に耐えられるのかという説明がなされていない。
●地震時に2階の巨大書架から蔵書がキャットウォークに落下した場合、
キャットウォークは落下した蔵書の重さに耐えるだけの強度があるのか?
(2階の書架の荷重はキャットウォークにはかからないようになっているので
普段は本の荷重がキャットウォークにかかることはないが、
本が一斉に落下してきた場合、その重さに耐えられるようになっているのだろうか?)
●音訳・点訳などのボランティア向けの作業室は結局どうなるのか?
●パソコンを利用できるコーナーは残されるのか?
●座席数はどれくらいになるのか。従来と比べると増えるのか?減るのか?
●「エポカル武雄」という名称は残るのか?
●検索コーナーはどのような形で設けられるのか?
(iPadが使われるらしいが、座って検索できる席は設けられるのか?)
●「特集コーナーを設けて関連する蔵書やCD/DVDなども一緒に置く」といったアイデアが
示されていたが、実施する予定なのか。
CD/DVDが有料だった場合、図書館法などに抵触する可能性はないのか。
--- 有料部門関係
●スターバックスでの会話はなるべく控えてもらう方針なのか?
樋渡市長はツイッターで「仕掛けお楽しみに」と言っていたが
なにか仕掛けが用意されているのか?
「ガラスで仕切った2階学習室」がその仕掛けだとすると、
図書館全体の静粛性確保については何の対策にもなっていないが、
静粛性は求めないという方針だと解釈すればよいのか?
●スターバックスの座席は商品を買った人だけが利用できるようになるのか?
それとも商品を買わなくても利用できるのか?
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コメント
昨日の天気が本日(1月14日)雨になりましたが、このサイトを先ほど知り読むことが出来て、心はもやもやが晴れました。私も主張したかったポイントがキチンとした情報根拠と合理的な推論で述べられています。数々あった疑問がかなり解決しました。有難うございました。
武雄市の図書館改革案が5月に東京で発表されたので、直ぐに代官山蔦屋を訪問しました。本屋としては評価しますが、けっして「図書館」ではありません。蔦屋でCCCに関する本をレファレンスして数冊買い込み、読みましたが「図書館ノウハウ」は何処にも出てきませんでした。11月21日に横浜市での図書館総合展フォーラムで市長から直接CCCとの連携理由を伺いました。「カンブリア宮殿」でのCCC増田社長との出会いだったそうです。武雄市の職員行動とは宗教が違うと思ったそうで、直営での図書館運営を諦めたそうです。自分の部下を信じずに民間会社に丸投げするとは、トップとして信じがたい決断だと思いました。武雄市の職員は本当にダメなのでしょうか?
こっれからも継続して武雄市をウオッチングしていきたいと思います。ことは武雄市の問題だけでなく、大げさにいえば地方自治、民主主義、行政・市民に対する信頼の問題だと感じています。うわべだけのPR戦略に乗せられずに「真理がわれわを自由にする」で望みたいと思います。
投稿: 福富洋一郎 | 2013年1月14日 (月) 08時30分
>福富様
武雄市Facebookページのコメントや図書館総合展などでお名前を拝見しておりました。
記事がお役に立ったのであれば幸いです。
CCC社への委託の経緯などは、こちらのブログをご覧いただくとよくわかると思います。
時系列で振り返る樋渡市長と武雄市図書館 - 突発非同期不連続
http://fmht7.hateblo.jp/entry/20120904/1346691330
この記事にもあるように、樋渡市長は2011/12/21のブログ記事で、
武雄市教育委員会から以下のような改善提案を受けたことを明らかにしています。
図書館を民主化します。 : 武雄市長物語
http://hiwa1118.exblog.jp/15142040/
「休館日をさらに減らし、佐賀県では最も休みの少ない図書館にする(※1)」
「司書を積極的に入れ処遇を抜本的に改める」
「選書の一部を市民に開放する」
※1・・・年間70日だった休館日数を一気に34日に減らすという提案で、
翌年2012年2月に可決され4月から実施されています。
ただしご存知のように11月から改装工事のため5ヶ月館の休館となりました。
樋渡市長はブログ記事で「5年間のわだかまりが溶けました」とまで言って労っているのですが、
市長が「CCCとの出会い」と言っている「カンブリア宮殿」は、この翌日に放送されたものです。
つまり教育委員会から改善提案を受けた翌日にカンブリア宮殿を見ただけで考えを変えています。
その後翌年1月にすぐに代官山蔦谷に行って具体的な動きが開始されました。
教育委員会が一生懸命練り上げてきた改善提案が、樋渡市長の主観だけで
一日であっさり覆されてしまうのですから、さすがに気の毒に思います。
そしてCCCと組んで出来上がる図書館は、
「商用スペースに多くを割き、蔵書を狭い面積に非常に利便性が低く危険な形で押し込み、
おまけに武雄の貴重な蘭学資料を常設展示していた専用建物である蘭学館が
TSUTAYAの有料CD/DVDレンタルコーナーにされてしまう」
参考:
http://goldenhige.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-29e8.html
http://goldenhige.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-1490.html
というものです。
計画は市民の意見の聞き取りや説明もまともに行わないまま進められており、
まさに樋渡市長の主観やCCCの商業主義によって作られた図書館となります。
「市民をないがしろにしている」という部分が一番の問題だと感じながら色々とまとめています。
私がこれまでに書いた記事や作った資料は、本ブログ左側にある
「ウェブページ→3.武雄市関連記事」
から辿れるようになっていますので、よろしければご覧ください。
色々な問題を広く皆様に知っていっていただきたいと考えております。
投稿: 金の髭 | 2013年1月15日 (火) 22時53分
お早うございます。
最近、読ませていただきました。何度もたどるように読んでいますので、まだまだ不完全な読み込みですが、とても実証的だと感じています。
話は、飛びますが、根は一緒です。
大阪市の高校で体罰により、生徒が自殺(指導死)しました。橋下大阪市長は、コロッと「体罰も致し方ない」という見解を変えて、2月の体育科の入試を中止するとか言ってますね。受験を前にして、中学生が可哀そうです。また、中止する権限も市長にはありません。
全国各地の教育委員会を骨抜きにしてきたのは、だれかということです。
70年近く前、敗戦後の教育改革の中で教育委員の公選制がありました。もう何年前になるでしょうか、東京都中野区は突っぱね続けましたが、とうとう俵萌子さん(故人)が、最後の公選による教育委員だったと思います。その時から、教育委員会の独立性なんてありません。
市民の支持を受けた、確かな見識のある方々が教育委員であれば、もっと対応も違っていたのでしょう。もちろん一生懸命に教育のことを考えておられる方もいるでしょうが・・・。
橋下市長や樋渡市長は、巧みにメディアを操りながら、この機会に乗じて、教育委員会の独立性を完全になくそうとしていると思います。36年の教員生活で顧みると、いじめや体罰については、定期的に全生徒にアンケートを取ればいいのです。封筒も渡して、家で書いてくるようにとアンケート用紙を持ち帰らせました。あとは、丁寧な事実確認と生徒へのフォローです。そうした取り組みができる学校にしていくのが管理職の役目でしょう。
武雄市教育委員会の定例会を一度傍聴したことがありました。大切な図書館運営について、異論があったにも関わらず、何とも締りのない会議。
このあとの6、7、8、9月の会議録を参照されたらいいと思います。
これが2012年5月23日武雄市教育委員会・会議録です。
http://www.city.takeo.lg.jp/kyouiku-blog/docs/H24.05.23%E6%AD%A6%E9%9B%84%E5%B8%82%E6%95%99%E8%82%B2%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A%EF%BC%88%E5%85%AC%E8%A1%A8%EF%BC%89.pdf
投稿: けんさん | 2013年1月16日 (水) 10時48分
昨日の続きです。
大阪市の市立高校の定期異動は、どうなっていたのでしょうか?18年もの長きにわたって、勤務していれば、惰性に流れたり、自分を客観視できなくなります。本来は、そうした異動システムを作った教育委員会の責任でもあります。こここそ住民が、注視すべきことでした。
そして、ご存じのとおり、行政、教育委員会、学校あらゆる組織は内外に、徹底した情報公開を行い、第3者の意見や評価を受け入れて検討を重ねていくのは、当然のことですね。
相互に検証し合うシステムがなかなか定着せず、上意下達温存の体制が続いています。武雄市の問題は、これまでの日本の民主主義が問われており、住民側から絶えず根付かさせる提案をし続けなければと思っています。
わたしのほう、井上一夫氏ともこれまで情報交換を重ね、氏が昨年7月に立ち上げられた学習会にもできるだけ参加をしております。なかなか大変な状況下にありますが、将来どうなるか分からない企業に、便宜供与をさせるわけにいきません。(将来CD、DVDはなくなる?)
金の髭様が、粘り強く取り組まれておられることに敬意を表します。今後も発信されることをぜひお願いいたします。
投稿: けんさんこと宮本謙吾 | 2013年1月17日 (木) 13時59分
>けんさん様
ありがとうございます。教育委員会の議事録なども、色々と目を通させてもらっています。
蘭学館を潰すという案を通してしまったことも含め、正直なところ独立性など皆無で残念な気持ちですが・・・。
中には心を痛めている職員さんもいらっしゃるとは思うのですけどね・・・。
記事のほうですが、先程大幅に加筆修正を行いまして、ほぼ別物となりました。
長くはなりましたが、内容的にはより整理できたのではないかと思っています。
よろしければあらためてお読みいただき、おかしな点などありましたらご指摘下さい。
図書館計画で何よりも足りていないのは、市民への説明や意見の聞き取りだと思っています。
せめてもっと積極的に説明を求めていきたいところなのですが、武雄市役所 文化・学習課には
ごく簡単なメールにすらまともに対応する余裕がないようで、職員の方を心配してもいます・・・。
樋渡市長がろくに何も考えず拙速に計画を進めた結果、
職員さんに負担がかかりすぎているのではないかと・・・。
また、それもあって武雄市役所自体も、まともに市民に説明できるほど
情報が整理できていないのではないかと・・・。
果たして新図書館はまともに開館できるのでしょうか・・・。
樋渡市長の説明にはデタラメが多すぎますので、
市役所からもっと丁寧な説明があると良いのですけどね。
投稿: 金の髭 | 2013年1月19日 (土) 00時07分