沢辺均氏の朝日新聞記事(武雄市図書館の試み)についてのコメント
最終更新:2013/11/7 8:00頃
記事公開後、いくつか加筆・整理等を行っています。
朝日新聞で、こんな記事が出ていました。
2つとも内容は同じですので、会員登録無しで全文が読めるブック・アサヒ・コムの記事をどうぞ。
(ニュースの本棚)武雄市図書館の試み 「知の提供」の手段とは 沢辺均:朝日新聞デジタル(会員登録が必要)
武雄市図書館の試み 沢辺均さんが選ぶ本 - 沢辺均(「ず・ぼん 図書館とメディアの本」編集委員)
- ニュースの本棚 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト(会員登録不要)
要旨は、
「図書館には色々な取り組みが必要であり、
館内に書店を入れた武雄市図書館の挑戦(トライアル)は大事なこと」
ということなのでしょう。
ですが根本的に色々とおかしな点ばかりなのでつっこんでみようと思います。
武雄市図書館の取り組みは「まともな挑戦」ではありませんし、
このような安易な記事は、武雄市図書館や樋渡市長の暴走を加速してしまうと考えています。
また、新聞記事だけでなく、視察に行った議員らが様々な問題点を見抜こうとせず、
武雄市側のデタラメな説明を鵜呑みにして賞賛の声を上げているのも、
同様に武雄市図書館や樋渡市長の暴走を加速するものだと考えており、頭を痛めております。
リニューアルについて樋渡啓祐市長が『図書館が街を創(つく)る。』で語っている。
まず、当事者による自画自賛の書籍だけを参考にしてしまっては実態など見えません。
武雄市役所や樋渡市長、CCC社の説明は我田引水のデタラメばかりだということを
しっかりと認識していただきたいと思います。
「自治体の首長がそうそうデタラメを言うわけないだろ」と思うかもしれませんが、
それを極めて大規模にやらかしているのが樋渡市長です。
市長の記者会見をネットで見直してみた。市長の改革意欲は抜群に高いが批判への対応は乱暴にみえる。逆説的になるが、このある種の乱暴さがこれほどの改革をあっさり実行する力の源なのかもしれない。
改革意欲ではなく、単に目立ちたいだけです。だから馬鹿な施策を詭弁でぶち上げる。
批判への対応が乱暴というか、樋渡市長は批判を受け入れる度量など皆無であり、
批判を受けると簡単に逆ギレし、冷静な議論も具体的な反論もできず、
嘘までついて相手を理不尽に罵倒・恫喝・脅迫して貶めるのが常です。
選挙戦という極めて重大な場でも平気で嘘をつき誹謗中傷を垂れ流していることを確認しています。
「国会議員に報告するぞ!」武雄市長がツイッターで一般人にブチギレ - NAVER まとめ
【君はゴキブリ以下】武雄市長 樋渡啓祐氏の煽りツイートまとめ【あはは。真に受けてる】 - NAVER まとめ
苦言に過剰反応し、日本ツイッター学会補佐官に地位返上を迫る樋渡市長 #たけお問題 - Togetter
#たけお問題 [動画]7/28松阪市図書館シンポで簡単にブチ切れる樋渡市長 - Togetter
樋渡市長が行った応援演説(堺市長選 2013/9/21)での嘘や誹謗中傷の検証
10/30に行われた図書館総合展でも、ブログやFacebookで
何の根拠もなく糸賀教授を嘘つき呼ばわりしていますね。
図書館総合展でお話ししてきました : 武雄市長物語(2013/10/30)
樋渡市長Facebook記事(2013/10/30)
図書館総合展「"武雄市図書館"を検証する」全文
−激論、進化する公立図書館か、公設民営のブックカフェか?
: 武雄市長物語(2013/11/2)
樋渡市長Facebook記事(2013/11/2)
内容を検証しても、細かい嘘を言っているのは樋渡市長のほうであり、
糸賀教授が嘘を言っているという事実は確認されていません。
このように、樋渡市長は具体的な反論ができず、嘘と詭弁で相手を貶めてばかりいる人物です。
何よりも、武雄市図書館の改装にあたり、市民への説明をするどころか、
能動的かつ積極的に市民を騙してきたことは、しっかりと認識しておくべきでしょう。
CCC社(ツタヤ)への委託も、改装に4.6億円もの税金がかかることも、
蘭学館を潰してツタヤのレンタルコーナーにすることも、
全て後出しで突然発表され、そのまま議会で可決されるという異常さでした。
議会を通しているとはいえ、市民の声を聞く気が一切無いということは知っておくべきです。
市民にまともな説明すらされなかった改装・委託案をヘラヘラと通してしまった
武雄市教育委員会や武雄市議会も非常に情け無いと考えています。
市民を欺き貶める樋渡市長を「改革派市長」などと呼ぶな - Togetter
樋渡市長は、武雄市図書館について、
「今までの行政はみんなの意見を聞きすぎた。
万人に受けようと思ったらつまらない図書館しかできない。
だから自分が行きたいと思える図書館を作った。
自分が好きになるものは皆が好きになる。」
と言っています。この話を鵜呑みにして、
「だからこんなに良い図書館ができたのか!素晴らしい!」
などと、寝ぼけた考えをしていらっしゃる方々を時々見かけます。
個人や民間会社が自己責任でやるならともかく、自治体がそんな姿勢でいいんですかね?
更に何度でも繰り返しますが、樋渡市長が
「この図書館が嫌なら他所の図書館に行きゃあいいんですよ、いやほんとに。」
という発言をしていることと合わせて考えてみるべきです。
樋渡市長が行っているのは、「自分がやりたいことや自分の価値観の押し付け」と、
「それに逆らう者、価値観の合わない者の排除」です。
一個人の価値観だけに従った政治が非常に危険であることは言うまでも無いはずですね。
市民の意見を聞かず、市長が自分の好きなように図書館を作った。
確かに少なくとも現時点では来館者が増えており、それなりに成功しているようにも見えますが、
たまたま今うまくいっているからと言って、首長や行政の暴走を許してよいのかという話です。
こう言うと「議会を通してるだろ」と反論する人もいるでしょうが、
今問題にしているのは、「市民の意見を聞く気がない」という話ですので勘違いしないように。
今後の見通しも不透明であり、経過をよく観察していく必要もあります。
朝日新聞の記事では
「このある種の乱暴さがこれほどの改革を
あっさり実行する力の源なのかもしれない。」
などと書かれていますが、行われたのは改革ではなく、ただの市民無視の暴走です。
背景を知らないまま、樋渡市長の暴走を是認するようなコメントを書かれているのは、
大変残念であり、そういった安易なコメントは暴走を加速するものだと考えます。
その知の提供には、図書館という無料の場所も重要だし、販売を通して再生産されることもまた大切なのである。だからこそ、書店経営がむずかしくなりつつある人口5万人程度の地方で貸し出しと販売を行う図書館が生まれたということが重要なのだ。
支離滅裂にもほどがあります。
図書館も書店も両方大事だという話は当たり前のことでしょう。
しかし、それがなぜ
「図書館の中に書店を入れたことが重要」
などという話になるのでしょうか。意味がわかりません。
地方での書店経営が難しくなりつつあるというのは世の中の趨勢かもしれませんが、
そもそも武雄市図書館のすぐ隣のゆめタウンには明林堂書店が入っています。
武雄温泉駅のすぐ近くには、ブックマート日の出という書店もあります。
ついでに言うと武雄市図書館から2キロのところにTSUTAYA武雄店もあります。
武雄市内には他にも書店やレンタル店が存在します。
武雄市図書館の中に書店やレンタル店を入れる必要性など皆無なのですが。
そして、武雄市図書館に蔦屋書店とTSUTAYAのレンタルを入れたことで、
武雄市内の書店やレンタル店からは、
という悲鳴も上がっているのですが、ご存知ないのでしょうか。
樋渡市長はこれらの悲鳴を
と傲慢に切り捨てていますが、行政が率先して既存の店の経営を圧迫してどうするのでしょうか。
また、武雄市図書館では、図書館の購入雑誌を従来の107誌から20~30誌前後に減らした上で、
「蔦屋書店の売り物の600種の雑誌に誘導し、館内で座り読みさせる」
という手法をとり、
「お金をかけずに、沢山の雑誌を読めるようにした」
と、自慢げにアピールしています。
色々な考えはあるかもしれませんが、私は、
「再販制度を悪用して売り物の本を座り読みさせるのは、
著作権者や著作物を蔑ろにする行為である」
と考えています。
公共図書館は本来権利者への敬意や配慮を忘れてはならない施設です。
その公共図書館が、「売り物の本の座り読み」を推進するような姿勢をとっていては、
いずれ権利者との衝突が起きても不思議ではありませんし、
図書館界も権利者も、早いうちにしっかりと声を上げ、議論していくべきだと考えています。
同様のツタヤ図書館が、多賀城市や周南市、あるいは大刀洗町などにも
広がろうとしてしまっておりますし、その他の自治体も興味を示してしまっているようです。
早いうちに声をあげていかないと、
「公共図書館(公設ツタヤ)が権利者を踏みにじるという流れ」
は止めにくくなるでしょうし、早めに止めないと結果的に住民も迷惑するでしょう。
更にもう1つ言っておくと、武雄市図書館の中で、蔦屋書店が1階の入り口付近という
ベストポジションを広々と使っている理由について、樋渡市長は
「アンケートで雑誌の充実を求める市民の声が強かったから」
(要約表現。詳細については2013/3/14市議会議事録p.264~を参照。)
と説明しているのですが、その主張にはまともな根拠がありません。
市民が書店を求めていたのならともかく、そんな事実は無かったというのは非常に重要であり、
デタラメな説明をしてCCC社に異様な便宜を図っている樋渡市長や武雄市役所は糾弾されるべきでしょう。
いくつかの情報を示しましたが、これらを考えずに
「図書館の中に書店を入れたことが重要」
などと新聞で安易に述べるのは、いくらなんでも短絡的であり、
考えが不足しすぎているように思えます。
武雄市図書館で利用カードを作ってみた。カードには図書館利用だけのもの、ポイントがつくもの、TSUTAYA でのレンタルもできるものがあり、利用者が選択する。作ったのは図書館/ポイント/レンタルと三つの機能のあるもの。利用者が選択できるのだから、読書記録をCCCが利用し「読書の自由」をおびやかすという危惧は、ためにする批判に聞こえる。
むしろ貸し出し記録の秘匿という図書館関係者のよりどころが、記録の有効利用を妨げていることにこそ問題がある。個人を特定しない方法で記録化し、どの本 が一定期間に何回借りられたのかといったデータを選書に利用したり、地域のニーズ調べにも利用できるはずだ。図書館はベストセラー本をどんどん貸して著作権者や出版社の利益を奪っているといった批判があるが、その批判に本当に妥当性があるのか冷静に議論するための出発点にデータは活用できる。「調査なくして発言なし」は建設的な議論の必要条件ではないか?
根本的に勘違いしすぎています。
まず、図書館での貸し出し記録の活用については、色々議論していけばよいでしょう。
いくつかの取り組みもなされていると聞きます。
しかし、それはあくまでも「図書館」として閉じた範囲で考えていくべきことです。
武雄市図書館で問題とされたのは、基本的には
「第三者、特にCCC社のような個人情報収集・利用業者に
図書館の貸し出し記録が渡る可能性と危険性」
という話ですので、図書館内部でのデータ活用の話と混同すべきではないでしょう。
また、
「利用者が普通の図書利用カードとTカードを選択できるのだから問題無い」
という意見も、短絡的にすぎます。
そもそも、2012/5/4に行われたCCC社との合意記者会見では、樋渡市長は
「Tポイントカードに僕は完全移行したいという風に思っています。」
と語っていました。その場で高木浩光氏らにより、
「子供もTカードを作るのか」
「貸し出し情報はCCC社に渡されるのか」
「市民にTカード規約への同意を強制するのか」
といった問題が指摘され、その後、樋渡市長が高木浩光氏への脅迫など、
数々の馬鹿な問題発言を繰り返してクズっぷりを存分に晒して炎上した挙句、
紆余曲折を経て結果的に従来の図書利用カードも使えるという選択制になったのです。
問題の指摘がなければ、Tカードへの完全移行が行われていた可能性もあるでしょう。
個人的には武雄市図書館のTカード採用には、主に以下のような問題があると考えています。
1.従来の普通の図書利用カードが使えるのに、
システムに余計な手を加えてまでTカードを導入する意義など無い。
武雄市図書館では司書が蔦屋書店の販売業務までやらされており、
「Tポイント付与は自動貸出機利用による司書の負担軽減の謝礼」
という、こじつけの言い訳も、既に破綻している。
Tカード導入の実際の理由は、Tカードの普及というメリット(飴)を与えなければ
CCC社の誘致は不可能だったというだけだと思われる。
そもそもポイントなどつけなくても自動貸出機はごく当たり前に利用されるだろう。
各カウンターに職員が不在のことが多いという報告もされているほどなのだから、
実質的にも使わざるをえないという状況があるとも言える。
また、Tカードだけの話ではないが、CCC社が撤退した場合、武雄市図書館はどうなるのか。
あまりにもCCC社に依存しすぎた形を作りすぎてしまっている。
2.武雄市図書館では、今のところ
「Tカード番号・ポイント数・利用日・利用時刻」
の4つの情報をTポイント付与のためにCCC社に渡しており、武雄市は
「これらは個人情報ではない」
と説明しているが、Tカード番号は個人と紐付けられている個人情報であり、
これらの情報は明らかに個人との紐付けが可能な個人情報である。
「そんなの大したことじゃないだろ」と思うかもしれないが、
「武雄市側の説明論理が破綻している。」
という点が非常に重要。
例えば、仮にこれらの情報に「貸し出し履歴」を加えた場合を想定すると、
「渡している貸し出し履歴は個人情報ではない」と強弁しているようなもの。
実際にやるかどうかはともかくとして、規約の変更によって
勝手に色々な情報が渡される可能性もある状態だということは軽視すべきではない。
現状は、「論理破綻した詭弁によって個人情報がCCC社に渡されている」と考えるべき。
3.樋渡市長は生活保護や住民票の発行、医療情報の管理など、様々なことに
Tカード・Tポイントの利用を広げていきたいという発言もしている。
行政が民間の特定のカード業者に依存し、利益供与するのは大きな問題。
4.CCC社は個人情報の収集・利用業者であり、多くの繊細な個人情報を扱う自治体が
そのような業者に過度に依存する姿勢は不安を呼ぶだけである。
また、CCC社がこのような形で自治体に食い込んでいき、発言力を増していったとき、
行政はその振る舞いを本当に制御できるのか。
少なくとも武雄市図書館の現状は、積極的にCCC社に媚びているようにしか見えず、
行政が考え無しに業者に情報を売り渡している状態だとしか思えない。
このまま無分別に民間業者にいいように利用されてしまうだけではないか。
提供する情報の範囲がズルズルと拡大してしまうのではないか。
何か抜けてしまっているような気もしますが、私はこれらの理由から、
図書館を始めとする行政機関がTカードを採用することには反対しています。
多賀城市などで計画が議論されている公設ツタヤ図書館もどきでは、
最悪の場合でもTカードの導入だけは避けていただきたいものです。
そもそも、はっきり言ってCCC社には、まともな図書館ノウハウもありません。
武雄市図書館の改装計画を統括したCCC社側のリーダーは高橋聡氏ですが、
2013/9/15に放送された「夢∞無限大FUKUOKA」で高橋氏自身が語ったところによると、
「元々は本とか図書館とか関係ない映画とか音楽の仕事ばかりしていた。」
「2012年1月に樋渡市長が代官山蔦屋書店を訪れた時に、
店内を案内したのがたまたま僕で、僕しかいなくて、
その時に図書館をやろうという話になって
じゃあお前がプロジェクトをやりなさいってことで始まった。」
「最初はまず僕自身が本も知らないし図書館も知らないので、
どうしていいかがわからない状態から始まったので、
今やってることが正しいのか正しくないかというのも全然わからなかった」
とのことです。
樋渡市長が代官山蔦屋書店を訪れたのは2012/1/23ですから、
高橋氏のこの状態からわずか3ヶ月半後の2012/5/4に、
CCC社との基本合意記者会見が行われたということになりますし、
そこからわずか1年たらずで改装開館にこぎつけたということになるわけですね。
あまりにも拙速すぎて、武雄市図書館がズタボロになってしまったのも当然です。
また、武雄市図書館の惨状だけでもかなり酷いのですが、
CCC社は、東日本大震災の被災地でもある多賀城市のツタヤ図書館計画でも、
武雄市図書館と同様の危険な巨大書架を提案しています。
この多賀城市の企画も、高橋氏ら武雄市図書館メンバーが関わっているとのことですが、
被災地で基本的な安全性すら蔑ろにする姿勢は極めて思慮不足だと考えています。
CCC社のどこにまともなビジョンが感じられるのですかね?
少なくとも図書館に関して「CCC社にしかできないこと」なんて、ぶっちゃけ存在しないと思いますよ?
なんで駆け込み寺であるかのように、CCC社への委託に舵を切ってしまうのですか?
CCC社がやりたいのは図書館ではなく本屋やレンタル屋や個人情報収集なのですから、
自治体や市民はもっとしっかりと自分達で図書館や街づくりのビジョンを練らないと駄目でしょう。
ろくに考えようとせずにCCC社に投げっぱなしにする姿勢は非常に情けないと感じます。
特に自治体の首長や議員や図書館関係者。あなた方のことですよ。
『「調査なくして発言なし」は建設的な議論の必要条件ではないか?』という、
今回の記事にある沢辺氏の言葉は、沢辺氏本人と、
まともな調査や検討もせずにツタヤ図書館を広げようとする人々にこそ問いかけたいものです。
武雄市図書館のにぎわいには本と雑誌の販売が一役買っていると思える。これまでのやり方から一歩進んでトライアルをいくつもすることこそ、今の図書館、社会に求められていることではないだろうか。
武雄市図書館の問題点は、一言で言えば、
「やり方が無駄で無思慮で、ことごとく最悪を極めている」
ということではないかと考えています。
●市民の意見を全く聞こうとしないどころか市民を騙すという行政の暴走。
●全く根拠の無い、CCC社との随意契約と、露骨な利益誘導。
●論理破綻した詭弁による個人情報の第三者提供。
●まだ新しかった図書館の改装に4.6億円もの税金を無駄遣い。
●急ぐ必要など全く無いにも関わらず、「スピードは最大の付加価値」などとほざき、
わずか1年というあまりにも拙速かつ検討不足のまま進められた計画。
●改装費4.6億円に加え、年間図書館費も1.2億→1.5億に増加。
つまり自治体負担の極端な増加。
●蔦屋書店とスターバックスの利益に頼りすぎている極めて歪な図書館運営費用。
●構造的にも広さ的にも余剰スペースなどなかった図書館建物への
あまりにも無理やりな蔦屋書店・スターバックスの詰め込み。
●蔦屋書店・スターバックスの詰め込みによる、図書館スペースの
極端な危険性・不便性の増加と、図書館機能・文化施設機能の低下。
(巨大書架の危険、蘭学館の取り潰し、
バリアフリー面での後退(床の段差や入り組んだ書架配置等)、
読み聞かせ部屋の取り潰し、閉架書庫の取り潰し、
子供用トイレや職員トイレなどの取り潰し、事務スペースの取り潰し、
所蔵雑誌の減少、etc.)
●まともな分類の体をなしていない独自分類もどきと、それに基づく排架、
拙速な導入によるデータ入力ミスや、作業の人手不足、
作業時間不足などが重なったことによる書架の乱れ。
●文科省からの「図書館と営利事業との明確な区分け」という指導の無視。
●拙速で無思慮な設計による建築基準法への配慮の欠如と、
それによる極めて大きな危険の発生。
●公共図書館による著作物や権利者の軽視。(売り物の本の座り読み)
●行政による民業の圧迫。
●実態をごまかすための数々の詭弁。
何か抜けている気もしますが、細かい話については、こちらの記事でまとめています。
とにかく市民無視で拙速に進めたこともあって、あまりにも問題だらけなのですよ。
来館者がわずか半年で50万人を突破したとか、
雰囲気がオシャレだといった表面的なことばかりが注目されていますが、
実態をしっかりと見てみれば、武雄市図書館の取り組みは、
「多額の税金を使って、市民の貴重な財産である武雄市図書館・歴史資料館を破壊し、
ちょっと珍しいだけの、ただのツタヤとスターバックスに劣化させた」
という、あまりにも酷い話だと思うのですよね。
開館時間が延びたのは一応良い点だと評価してはいますが、
「1日12時間365日開館」は過剰サービスだと考えておりますので、
蔵書整理なども考えて、もっと適切に休館日などを設け、
CCC社への委託料を含むコスト削減を検討したほうが良いと考えています。
上で述べたように、今年度の図書館費は増えてしまっていますしね。
また、上で述べたように図書館運営費が蔦屋書店とスターバックスの利益に
過度に依存しすぎていると考えていますので、今のままでは色々苦しくなっていくのではないでしょうか。
どちらにしろ、いずれ色々と見直さざるを得なくなるのではないかと懸念しています。
ここで少し現時点での私のスタンスをいくつか述べておきたいと思います。
まず、図書館への指定管理者制度の導入については、
よく言われている通り、継続性などの観点から、基本的には不向きだと考えており、
なるべく自治体直営で運営していく道を模索したほうが良いと考えています。
しかしながら、今後厳しくなっていく地方財政などを考えた場合、
直営では厳しくなってくるといったケースもあると思っておりますので、
指定管理者制度の導入を手段として否定するつもりはありません。
ただし、当然ですが安易な導入や投げっぱなしの運営はNGです。
武雄市図書館のケースはNGってことなんですけどね。
図書館にカフェを入れることについては、特に反対していません。
飲み物をこぼした時の本の汚損は少々気になりますが、
カフェが併設された図書館は全国にたくさんありますし、
図書館本来のスペースとは別に、しっかりしたスペースをとって
それなりの区分けもした上で導入するのであれば望ましいと思っています。
武雄市図書館に視察に行った議員のブログなどを見ていると、
カフェが入っている図書館が珍しいと思っている地方議員などが散見されますが、
決してそんなことはありませんからね?
カフェのある図書館マップ (東日本版) - Google マップ
カフェのある図書館マップ (西日本版) - Google マップ
また、図書館と書店の併設については、その町で書店が求められているのであれば
複合施設として検討するのもありかもしれないと思っています。
しかし、地元の書店などの経営を圧迫するような強引な誘致は慎むべきでしょう。
また、「売り物の本の座り読み」については、上に書いたように図書館と権利者との間で
しっかりと議論を行うべきであり、議論や整理もせずに、
「公共図書館が、売り物の本の座り読みをドヤ顔で推奨し、自慢する」
ということはやってはいけないことではないかと考えています。
武雄市図書館の場合は堂々とドヤ顔で誘導して自慢してしまっていますが、
「民間企業が勝手にやっていることだ」という形で逃げをうつのも卑怯でしょうね。
また、併設する場合でも、図書館としてのスペースを十分に確保することが前提ですし、
図書館と書店とはそれなりに区分けをするべきでしょう。
しかしながら武雄市図書館は、まだ新しい図書館の改装に多額の税金を投入し、
CCC社とまったく根拠のない随意契約を行い、市民の個人情報まで売り渡し、
既存の図書館・歴史資料館本来のスペースを大きく削って公共施設を機能低下・危険度アップさせ、
まともな区分けもせずに、あまりにも無理やりな形でドロドロなツタヤ化・スタバ化を行い、
地元の店の経営まで圧迫しています。
こんなものがまともな図書館の挑戦(トライアル)であるわけがない。
私はそう思います。
また、私は、実態を見据えずに武雄市図書館の取り組みを安易に支持する人々が多いことを強く懸念しています。
今回は沢辺均氏の朝日新聞記事をとりあげましたが、他にもおかしな記事は多数あり、強い危機感を持っています。
詭弁に騙されずに冷静に実態を見据えていかないと、色々とマイナスになってしまいます。
図書館のことを考えるのであれば、もっと真剣に実態を見抜いて情報発信すべきだと考えます。
| 固定リンク
« 10/27の神戸市長選の投票率向上運動(「TSUTAYA × Kiss FM Kobe」「センキョ割」)が怪しすぎる件 | トップページ | 武雄市が東京モノレールに出している「用地取得費 実質0円」の広告について »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント